引用元
https://japan.zdnet.com/article/35177847/
情報処理推進機構(IPA)は10月11日、新たに「DX白書」を公開した。デジタルトランスフォーメーション(DX)の現状について戦略、人材、技術の観点から掘り下げ、日本企業と米国企業の比較を行っている。
記者会見したIPA 社会基盤センター イノベーション推進部長の古明地正俊氏は、今回の白書について「DXのデジタルのイメージよりDXを技術的に捉えがちだが、白書ではビジネスの立場からテクノロジーを理解してDXを戦略、経営の観点で推進する人々を対象にしている」と述べた。調査では7~8月に日本企業534社、米国企業369社にアンケートした。
DX戦略
「戦略」の観点の現状で、まずDXに取り組む企業(全社的、一部組織)の割合が日本では45.3%、米国では71.6%だった。業種別では、日米とも情報通信と金融・保険が4割前後である一方、製造が日本では20.1%、米国が44.1%だった。古明地氏によれば、日本の製造では中小企業にDX推進がやや鈍い傾向が見られるという。
DXの取り組み内容と成果では、アナログ・物理データのデジタルデータ化(IPAではデジタイゼーションと表現)で「既に十分な成果が出ている」との回答が日本では17.0%だったのに対し、米国では56.7%に上った。
出典:IPA
古明地氏は、一般的にデジタイゼーションから個別の業務・製造プロセスのデジタル化を指す「デジタライゼーション」、そして、ビジネスそのものを変革するDXに至るとした上で、日本は一歩目のデジタイゼーションの段階で、米国と大きな差がある点を指摘した。
また、DX推進でアジャイル(俊敏性)が大切な要素であるとする点から部門別のアジャイルへの対応状況を見ると、日本ではIT部門、経営企画部門、事業部門の全てで「アジャイルを取り入れていない」が半分以上あった。一方で米国は、いずれの部門も6割以上が全面的あるいは部分的にアジャイルを取り入れていると回答した。
出典:IPA
DXの取り組みの評価や見直しの頻度については、米国では月次を中心に週次、四半期ごとも多い一方、日本では「評価の対象外」との回答が目立つ。古明地氏は、「日本では中期経営計画などの中にDXを位置付けていて、まだ頻繁に評価する段階にないではないか」との見解を示した。
出典:IPA